4. 木造住宅で使われる木のお話し

木造住宅には様々な種類の木がその用途に併せて使われています。また地域によっても使われる木材の種類が違ってきます。ここでは、木造住宅で利用される代表的な国産材・輸入材を中心にその特徴についてご説明いたします。

桧(ヒノキ)

ひのき

ヒノキ科ヒノキ属。火の木を名前の由来にもち、古代には火おこし用に使われたとされています。福島県東南部以南の本州、四国、九州に分布しています。天然生としては、木曽、高野山、高知県西部などが、また人工造林としては、尾鷲、吉野、天竜、和歌山の各地方産のものが有名です。スギと並んで日本が世界に誇る針葉樹ですが、ヒノキは一般に、より高級なものとされています。
なかでも、ヒノキの産地といえば、木曽桧は有名です。仏閣や神社を建てるための木材として古くから用いられて来ました。
心材の色は、淡紅色で辺材はほとんど白色です。特有な芳香があることが、材料としての価値を高めています。心材の耐久性が高く、しかも、よく長期の水湿に耐えます。 正しく使われたヒノキの建築では1000年を超える寿命を保つものがあります。(法隆寺はヒノキ造りで1000年前の建物として有名です。)
用途としては、建築、建具、彫刻(仏像など)木型、曲物、桶、などが知られています。また、神社仏閣の建築には欠くことが出来ません。「木の住まい」を造るときには、誰でもが、よい建築の代名詞の「桧普請」といわれるように、是非使ってみたいと思うほど、あこがれの木材です。

樹木から採取される精油成分に「ヒノキチオール」と命名されているものがありますが、日本産のヒノキには「ヒノキチオール」は含まれていません。これはタイワンヒノキから分離されたのが最初であったためで、日本ではヒバから採っています。

杉(スギ)

杉

日本人に最も親しみ深く、木と言えば真っ先にその名が浮かぶのがスギ。学名がCryptomeria japonicaと言われるように、日本固有の樹木です。語源はまっすぐ伸びると言う意味の「直ぐなる木」からきているといわれ、枝下が長く枝が細いので、長いまっすぐな材が取りやすい木です。最近では、天然のものは少くなり、ほとんどが人工造林されたものです。
天然のスギの産地として、秋田地方(アキタスギ)、屋久島(ヤクスギ)などがあります。 土質を選ばないため、古くから造林され、北海道南部以南の日本全土にスギの林が見られ、造林地として有名なのは奈良県吉野、三重県尾鷲、静岡県天竜川筋、大分県日田、宮崎県飫肥、鳥取県智頭などです。
スギの木材は特有の芳香をもっていますが、日常それを感じるのは樽酒の木の香り、あるいは、和菓子の箱などのそれでしょう。年輪ははっきりしており、肌目は粗くなっています。
住宅での用途は実に広く、柱を始め梁・母屋・桁・垂木・貫・下地板等の構造関係、さらに障子や襖・雨戸等の建具類、天井板、外壁、床材等ほとんどの用途に使用されています。

ヒバ

ヒバ

ヒバといえば、天然林の青森ヒバが有名ですが、これは北海道から東北地方に見られるヒノキアスナロという日本特産の樹種に当たり、能登地方で植林されているアテと同種です。そしてもうひとつヒバと称されるのが、本州から九州にかけて見られるアスナロで、建築材に使用されるのはヒノキアスナロの方。東京方面で手に入るのは青森ヒバが多く、関西では能登ヒバ(能登アテ)が多いようです。
ヒバの特長は、第一に虫や木材腐朽菌に強いこと。昔から「ヒバ普請の家には蚊が3年は寄り付かない」といわれ、特に白蟻に対する強さは他の樹種には見られないほどです。これは防蟻に有効な成分を含んでいるためで、ヒバは殺菌性のあるヒノキチオールの含有量が多いのです。腐りにくく、耐水性があって湿気にも強い、強度もヒノキと同等という特性を活かして、土台や柱、軒廻り、浴室、濡縁、ベランダなどに用いられます。また、特有の強い香りがあります。

松(マツ)

カラマツ
カラマツ

カラマツ属は、ヨーロッパ・シベリア・ヒマラヤ・北アメリカ北部など北半球の亜寒帯と中緯度の高山に広く分布する落葉針葉樹です。日本の高原を代表する植物でもあり、とくに信州周辺や北海道で見られます。
建築用の構造材(土台・柱・梁・筋交いなど)や内装材、土木材(橋梁や杭など)、家具材として用いられていますが、老齢になって成長がおそくなったようなカラマツは“天カラ”と呼ばれ、造林した若齢木と対照的に高く評価され、銘木として高い値段で取引されます。

アカマツ
アカマツ

マツ科の針葉樹で、北海道南部〜九州地方、さらに朝鮮半島〜中国北東部にかけて分布しています。
材質はハードパインに属し、特有のテルペン臭と水湿に強いのが特徴です。建築用の構造材(梁・根太・土台など)や板類、土木用材、防腐枕木、漆器木地や桶・樽などに幅広く用いられています。かたくて、ねじれる癖がありますが、強度があり、丸太梁として古民家などに使われているのを見かけます。

エゾマツ
エゾマツ

マツ科の針葉樹で、北海道〜南千島、樺太、朝鮮半島、中国東部、シベリアにかけて分布しています。
エゾマツは、スギ、ヒノキの大量に得られる本州、九州、四国よりも、北海道で主として用いられています。白くて目の詰んだ素直な木肌が好まれ、主に道内で用いられてきました。やわらかめの材で白蟻には弱いので、内装材や下地材に使います。パルプ、木毛、経木さらに楽器用材としても重要です。

その他の木材

ブナ
ブナ

ブナ科の広葉樹で、落葉高木。日本全土に分布しています。
白っぽい色で粘りがありますが、狂いやすく変色もしやすいです。しかし、曲木には最も適した材で、椅子、テーブルに多く使われています。また建築用造作材やフローリング材として用いられています。

ワンポイントアドバイス

ブナは殺菌成分である日局クレオソートを多く含むため、大気を浄化する作用があり、呼吸器疾患などにも効果があるといわれています。あの有名な正露丸(せいろがん)は、日局クレオソートを主成分とした胃腸薬(止瀉薬)です。

タモ
タモ

北海道、本州北、中部、また朝鮮、中国、樺太、シベリアにも分布します。北海道はなかでも産地としてよく知られ、代表的な木材の一つです。この類の木材は有用なものが多く、本州、四国、九州に分布するシオジ北海道、本州、四国、九州、屋久島に分布するアオダモその他があります。
また、一般に材質は強靱で、建築用造作材やフローリング材のほかに、家具や器具、運動用具などの素材として用いられています。英名を「アッシュ」といい、北米のホワイトアッシュや欧州のユーロピアンアッシュなども、タモと同様に良材です。プロ野球選手の使っているバットが日本製であれば、ほとんどがアオダモです。

ナラ
ナラ

ブナ科の広葉樹で、コナラ属の樹種のうち、主としてミズナラやコナラの総称として「ナラ」と呼んでいます。その中で、比重が比較的低く、加工性が良いミズナラがナラの中心です。建築用造作材やフローリング材、家具などの素材としてよく用いられています。また英国に分布するオーク(oak)はナラに相当します。

ツガ
ツガ

ツガは、マツ科ツガ属の常緑高木です。ヒマラヤから東アジアにかけてと北米に分布しています。日本には温暖帯に生えるツガと亜高山帯に生えるコメツガの2種が分布しています。
材質も堅く光沢もあるので関西では昔からツガ普請といって、ヒノキ普請よりも高級とされてきました。関東では主産地が離れていることもあり、評価はされてきませんでした。古い神社やお寺の建築などでも、ツガが使われているのは近畿、四国などが多く、北関東以北にはその例をみません。
用途としては、建築材、長押、敷居、鴨居、包装、車両、パルプ材、枕木、器具、などがあります。国産材は非常に高価で、北米産が主に使われています。

サワラ
サワラ

岩手県以西より四国、九州まで分布し、本州中部の山地が中心です。主な産地は木曽、伊那などが有名で人工造林も行なわれています。
「ヒノキよりさわらか」つまり、さっぱりしているということから名が寸いたともいわれるサワラ。ヒノキによく似た樹種ですが、生育地は本州の中部地方が中心です。人工造林も行なわれているものの伐採量に限りがあります。
水や湿気に強いことが特長とされ、また通直にきれいに割れる性質を利用して、水切れの良さを求められる外壁材として、屋根葺き材として用いられます。特に天然木は耐朽性に優れ、目が詰まった材で浴室や浴槽、樽、桶などもつくられます。節の少ない材も多く、加工がしやすいことから造作材に向きます。

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