仕事をする上で、人とのつながりを最も大切にしてきたミノル綜建の山田社長。協力業者と「共に作り上げていく」という理念のもと、中村木材とも16年に渡るお付き合いが続いている。今回は、建築業一筋50年の山田社長ならではの視点から、工務店を営む上でのノウハウや、中村木材との関わりについてお話しいただきました。
社長:創業21年ですね。ミノル綜建を設立する以前はサラリーマンで、会社の役員をやっていました。50年間ずっと建築畑ですが、鉄筋から鉄骨、木造まで全てを手がけています。
社長:16年ぐらいですね。(中村木材の)営業の土谷君が、うちのお得意さんのところへ営業に行ったのがきっかけです。お得意さんから紹介していただいて、色々と話をしたら「土谷君なら信用できるな」と思いました。彼は木材に関する知識がすごくて、上手に説明してくれました。会社が老舗だからというのも決め手でしたね。
社長:私がすごいなと思うのは、例えば「プレカット」に関しても、プレカットの知識を持った担当者が来てくれるんです。本当にこちらが思い描いていることをパッと絵にしてくれるから、打ち合わせ時間もすごく短いんですよ。材料の手配も確実にやってくれていますし、人間的には信用しているから他に言うことはありませんね。我々の建築業というのは「人間対機械」ではなく「人間対人間」ですから、人と人とのつながりで成り立っているんです。中村木材さんから来てくれている営業マンを信頼して、お仕事をお願いしています。
社長:とにかく横のつながりがバッチリで、みんな仲がいいんです。毎年新年会もやって、みんなでワイワイしているぐらいなので、ケンカしているところを見たことはないですね。
社長:若い人がこの職種に就きにくくなってきたので、人が足りなくなってきましたね。例えば鉄筋業や塗装業といった、比較的短時間で覚えられる職種には若い人がたくさんいますが、大工さんや左官屋さんといった、一人前になるまでに長時間かかる職人さんはなかなか育っていないのが現状です。
社長:一番長い職人さんは35年も前から付き合っているんですよ。その他もほとんどが20年、30年の付き合いです。理由はわかりませんが、とにかく仲がいいということだけですね(笑)。あとは、協力業者さんたちに仕事を依頼する前の段階で、我々が準備することってたくさんあるんです。手前味噌ですが、その準備が速くて、確実だからじゃないですかね。
北岡:そうですね。お見積もりに関しても、きちんと中身を見て指摘をしてくださいます。
北岡:僕も山田社長には若い時からお世話になっていて、本当にたくさん教えてもらいました。厳しい一面もあり、おおらかな面もあり、担当させていただいて自分も成長させてもらいました。そんな中で、少しでもミノル綜建さんに恩返しできていればいいなと思い、次の代にバトンタッチしています。
社長:私は金額が少ない時でも「ここが入っていないよ」とか「これが多すぎるよ」とかって指摘するんですよ(笑)。そういった面からも信頼関係は生まれるのだと思います。
北岡:たくさんの物件をやらせてもらいましたけど、丸棒でパーテーションを作るっていう物件ですね。かなり難しい仕事でした。
ミノル綜建さんのお仕事は設計事務所さんが絡むので、凝った建物を依頼されることが多いんです。だからこれまで他の工務店さんでは経験できなかった物件をやらせてもらってとても勉強になりました。
社長:設計事務所に限らず、工務店も業者さんも、やはり年数をこなさないと人間もできてこないし、腕や知識も磨かれない。機械のようにはいかないので、すぐに覚えられるものではないですね。
社長:CADはあくまでも絵ですから。絵では描けないところや、見えないところが結構あるんですよ。それをどうするかっていうことですよね。北岡君は経験を積んできているから、いち早くそれに気がつくんですよね。材料の拾い出しにしても、CADの絵ではわからない部分を、頭の中で実際の部屋に起こして考えてくれるから、信頼できるんです。
北岡:線で描くのは簡単なんですけど、実際にそれを作るのに、木材の納まりや、そういった材種が手にはいるかという部分でも変わってきます。
社長:現場の監督さんもそうですし、彼らが材料の拾い出しをする時もそうです。両者がその想像力を持たないと、家は建たないんですよ。
社長:そうですね。人間、抜けるなんてことは当たり前だから、私たちもしっかりチェックします。怒る前に自分でチェックをして「違うよ」って言ってあげればいいでしょう。怒ると何も前に進まないんですし、私は怒りを一周させて冷ましてから話すから(笑)。もう70歳になりますけど、それも経験を積んでこそですね。怒ると相手が縮こまっちゃうし、それではいい仕事ができなくなりますから、きちんと説明してあげないといけないんです。
杉山:今でちょうど1年ですね。僕も仕事の経験がすごく浅いので、少し凝った物件だとお見積もりを提出しても「あれが抜けている」って指摘されることが結構あるんです。そのまま進んでいけば、損をするのは拾い漏れしたうちという状況でも社長は電話をして教えてくださるんです。見積もり依頼の時も、毎回一緒に図面を広げて「ここはこういう風だから」って僕がわかるまで説明してくださるので、本当に助けられています。
社長:まだ建築のプロじゃないから、抜けて当たり前ですよ。やっぱり若い人だから、まだ立体にして拾うという部分がたまに抜けるんですよね。だから我々が徐々に教えて、覚えていってもらいます。うちは下請けさんを持っていないですから「一緒にやっていく」っていう感覚です。そういう考えを持っていれば、教えることも全然苦になりませんね。
社長:彼はもうほとんど自分で現場を仕切っています。わからないことは電話で聞いてもらって、現場は任せていますね。教えながら育てるということは、我々の業界ではできないので、失敗してもいいんです。失敗したらお金がかかるけど、人間失敗しないとわからない。それで覚えたら、次に同じ場面がきた時に絶対に失敗しないですよね。そうすると物事が早く覚えられます。
社長:そんなことをしたら育たないので、絶対にやらないですね。私たちも何も教えてもらえませんでした。先輩のやっていることを見ながら覚えていったんです。昔は監督も職人もみんな「飯場(はんば)」というプレハブ小屋の中に住み込みで仕事を進めていきます。毎晩そこの主任が酔っ払って夜中に帰ってきて「現場を掃除してこい!」って起こされるんですよ。「今日は階段!」って言われてやるんですよね。階段には必ず「墨出し」という作業があるのですが、掃除をすることで「そうか、こうやって墨を出すんだ!」って順番に覚えるんです。それがわかったら、最初は主任にすごく腹が立っていたんですけど、途中から「違う、仕事を早く覚えさせてくれているんだな!」って思いましたね。今、それをやったらみんなすぐに辞めちゃいますけどね(笑)。
有限会社 ミノル綜建
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